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1. KUSANAGIとは
爆速WordpressとウワサのKUSANAGI。
公式アナウンスによると、
超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」はあなたのWordPressサーバを通常の約10倍の速さにブーストさせます。ぜひこの速さをご体験ください。通常の約10倍の速さとな。
赤い彗星がかすむほどの速さです。
しかしただ「速い」と文字で見ていても、どれほどのものかピンときません。
具体的に通常Wordpressと比較してみました。
ただし一番安いプランで。
2. テスト環境
下記の条件でテスト環境を用意しました。
KUSANAGI | 通常Wordpress | |
---|---|---|
サーバー | ConoHa・512MB | ロリポップ!スタンダードプラン |
KUSANAGIバージョン | 8.2.1-2 | - |
PHPバージョン | 7.2.3(動画部分) 7.2.4(動画部分以外) | 7.1(モジュール版) |
WordPressバージョン | 4.9.4(動画部分) 4.9.5(動画部分以外) | |
使用テーマ | Twenty Seventeen | |
有効プラグイン | ・Akismet Anti-Spam(アンチスパム) ・WordPress インポートツール ・WP Multibyte Patch | |
テストデータ | 青空文庫から「ドグラ・マグラ」全文(注釈含む) 日本語版テーマユニットテストデータ(GitHub) |
実は、KUSANAGIの推奨環境はメモリ4GB以上です。
512MBでは「10倍速い」という真価は発揮できませんが、ConoHa512MBが月額630円、ロリポップ!スタンダードプランが月額500円なので、懐具合的に気になるのはこのあたりだよねーということで。
PHPのバージョンについては、ロリポップで選択できるのが7.1または5.6、KUSANAGIはダウングレードさせても7.2.4→7.2.3→7.0.23となるため完全一致させることができないので、テスト時の最新を使用しました(動画部分テスト時:2018年3月、動画部分以外:2018年4月)。
ConoHaでKUSANAGIの始め方は、別記事でまとめています。
3. 【動画で比較】管理画面:新規投稿ページへの遷移
KUSANAGI、何が速いって管理画面がサクサクです。
これは結構違いを体感できるので、動画で比較。
まず、ダッシュボードから投稿新規追加画面への遷移を行ってみました。
KUSANAGI | 通常Wordpress | |
---|---|---|
遷移開始 | 4秒33 | |
遷移終了 | 6秒20 | 7秒13 |
かかった時間 | 1秒87 | 2秒80 |
遷移開始・終了のタイミングは、ブラウザのタイトル横に表示されるアイコンを目安にしています。
遷移開始 | 遷移終了 |
---|---|
アイコン(丸印部分)が回りだした瞬間 | 移動先のページのアイコンが完全に表示された瞬間。画面消去は遷移終了のきっかり1秒後。 |
KUSANAGIの方が0.93秒速い、という結果に。
続いてさらに管理画面でのテスト。
4. 【動画で比較】管理画面:文字数の多い記事を新規投稿
本文が約43万字ある記事を新規投稿してみます。
KUSANAGI | 通常Wordpress | |
---|---|---|
遷移開始 | 2秒00 | |
遷移終了 | 9秒43 | 13秒86 |
かかった時間 | 7秒43 | 11秒86 |
これは大差!
KUSANAGI様スゴイ。
管理画面って気づいたらもっさりしていることが多いので、このKUSANAGIの反応の速さはもはや爽快…。
5. パフォーマンス比較
さて管理側は爽快でも閲覧側はどうなのよ、というところです。
ここからは具体的に数値・評価で検証します。
Webサイトのパフォーマンスを測定してくれる、GTmetrixというサイトを使ってKUSANAGIと通常Wordpressを比較します。
通常WordpressとKUSANAGIに投稿・固定ページデータとして日本語版テーマユニットテストデータをインポートし、トップページのパフォーマンスを測定しました。
まず、通常Wordpressの場合。
続いて、KUSANAGIの場合。
PageSpeed Score:Googleの指標に基づいた評価
YSlow Score:Yahoo!の指標に基づいた評価
どちらもKUSANAGIの方が通常Wordpressより1ランクずつ上の評価となりました。
ページサイズとリクエスト回数はKUSANAGIの方が多いですが、これはKUSANAGIの方がデフォルトで<HEAD></HEAD>内に追加されるタグが多いからのようでした。
それでもページが完全に読み込まれるまでの時間は通常Wordpressが1.6秒、KUSANAGIが1.4秒。
外部ファイルの読み込みが多くてもKUSANAGIの方が速いという結果に。
6. 負荷テスト
さて、次は数値で比較してみます。
ツール「Apache JMeter」を使用し、通常WordpressとKUSANAGIに複数ユーザーが同時アクセスした場合の負荷をテストしました。
1分間にアクセスするユーザー数を100、500、1,000と変化させ、応答平均時間の長さを比べます。
1ケースにつき10回前後テストを行い、その中から応答平均時間の短い順に5件ピックアップし、さらにその平均をとりました。
※負荷テストは通信環境によって結果が左右されますので、以下はあくまでも私の環境の場合の話です。
というわけで、とりあえず結果。
負荷テストのみ、KUSANAGIは512MBプラン、1GBプランの2種類で検証してみました。
縦軸が応答時間(単位:ms)。
縦軸の長さが短いほど応答時間が短い=速いということになります。
ミリ秒単位の話とはいえ、こうやって比べると通常WordpressとKUSANAGIで結構差がありますね…。
KUSANAGI・512MBは通常Wordpressの1/2以下、KUSANAGI・1GBは通常Wordpressの1/3以下の応答時間です。
当然ですが、やっぱり上位プランの方が速いことがわかります。
上記負荷テスト中のエラー発生件数は以下のようになりました。
KUSANAGI | 通常Wordpress | |
---|---|---|
100アクセス/分 | 0 | 0 |
500アクセス/分 | 0 | 0 |
1,000アクセス/分 | 0 | 1(0.01%) |
(1,000アクセス/分を10回試行したうちの1件エラー=1/(1,000×10)=0.01%)
グラフにしたテストは回線が混雑していないと思われる早朝に実施しましたが、さらに平日午後に通信環境を変えてまた1,000アクセス/分を試してみたところ、エラーが2%ほどに上昇しました。
対してKUSANAGIでは1件もエラーなし。
グラフ上でも通常Wordpressは負荷が大きくなるにつれ応答時間も延びていっていますが、KUSANAGIの方はほとんど変化がありません。
1,000アクセス/分までのテストまでしか行っていませんが、KUSANAGIはさらに負荷をかけても耐えられそうですね。
アクセス数が増えれば増えるほど、通常WordpressとKUSANAGIの応答速度に差が出ることになります。
また、自サイトが人気サイトでなくても、同じサーバーに人気サイトがあったりすると、レンタルサーバーではその影響を受けやすいです。
レンタルサーバー(通常Wordpress)は設定が簡単な分、他のユーザーと共有しているものが多く、VPS(KUSANAGI)は設定が難しい分、他のユーザーの影響を受けにくい仕組みになっています。
今度は通常Wordpress、KUSANAGIともにキャッシュを使用した状態で負荷をかけてみます。
通常Wordpressでは、プラグイン「WP Super Cache」を使用。
KUSANAGIはプラグイン不要でオリジナルのキャッシュ機能があります。
bcache・fcacheの2種類のキャッシュがありますが、bcacheのみ、fcacheのみ、両方ONにした場合で分けて計測してみました。
キャッシュ効果スゴイ。
通常Wordpress環境では、キャッシュプラグイン必須ですね。
またキャッシュありの場合は、通常Wordpressでもエラーが発生しませんでした。
KUSANAGIもキャッシュを使用したほうが速いのは間違いありませんが、通常Wordpressと比べるとキャッシュ効果は薄め。
キャッシュ間の違いについては、fcacheのみと両方ONにほぼ差がなく、ちょっと落ちてbcacheという結果になっています。
少なくともfcacheはONにしておいた方がいいでしょう。
bcacheとfcacheの違いについては、こちらのページでもうちょっと突っ込んでいます。
7. まとめ
- KUSANAGIの管理画面の速さは爽快レベル。
- 一番安いプラン(512MB)だと通常Wordpressの2倍以上速く、その次のプラン(1GB)だと3倍以上速い。
- 通常Wordpressはキャッシュプラグインが必須。
- KUSANAGIのキャッシュ機能は、少なくともfcacheはONで。
次の記事では、ConoHaでKUSANAGIの始め方を書いています。
これから始めようとお考えの方は、ご参考までに。