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0. セキュリティ設定を行う時の心構え
さて、ConoHaでKUSANAGIを始めるにあたって一番難しいのはここのページの手順です。
なんか大事そうな設定を間違えて変えてしまったかも…という時は、サーバーを再構築して、初期設定からやり直したほうがいいかもしれません。
あきらめてサーバーを削除する時も上記リンク先を参照してください。
1. 新規ユーザーを作る
「root」はどんな設定でも変更できる最強権限を持ちますが、ユーザー名が「root」固定なので、ちょっと仕組みを知っていればあとはパスワードを手に入れるだけでサーバーを丸ごと改ざんできてしまいます。
これを防ぐためにオリジナルのユーザーを作り、rootでのログインを禁止します。
Tera Term等のクライアントソフトでKUSANAGIに接続し、次のコマンドを入力します。
Command Line
adduser 新規ユーザー
ユーザーの追加を行います。「新規ユーザー」部分は好きな名前を設定。
以降、「新規ユーザー」部分はここで付けた名前に読み替えて進めてください。
Command Line
passwd 新規ユーザー
新規ユーザーのパスワードを変更します。パスワードを聞かれるので設定します。
Changing password for user 新規ユーザー.
New password:
Retype new password:
passwd: all authentication tokens updated successfully.
New password:
Retype new password:
passwd: all authentication tokens updated successfully.
2回聞かれるので同じ内容を入力します。
ここからちょっと難しいです。
次のコマンドを入力します。
Command Line
vim /etc/pam.d/su
これを実行するとこんなカラフルな画面になります。そのまま続けます。
「vim」はテキストエディタの操作を行うコマンド。
なので今、サーバーにあるテキストを開いている状態です。
この時の操作にはちょっとクセがあります。
画面左下の部分に注目して下さい。
上図のように画面左下に -- INSERT -- の表示があるときが入力モードです。
中身の書き換えはこのモードで行います。
モードの変更、ファイルの保存・閉じるなどは全てキー操作で行います。
vimでテキストファイル操作時に最低限使うキー
入力モードへ | i |
---|---|
入力モード終了 | Esc |
以下、Escキーで入力モードを終了してからの操作 | |
ファイルを保存せずに閉じる | :q! |
閉じる | :q |
ファイルを保存する | :w |
ファイルを保存して閉じる | :wq |
これでファイルを保存せずに閉じる。
普通のコマンド画面に戻ります。
さて、今開いているファイルでは、6行目付近の
#auth required pam_wheel.so use_uid
これを auth required pam_wheel.so use_uid
こう変更して保存して下さい。
先頭の#を取るだけ。最初なので、ここだけ細かく流れを書いておきますね。
(1) vimコマンドでファイルを開く
(2) iキーで入力モードへ
(3) 左下に -- INSERT -- が表示されているのを確認
(4) 上下左右キーでカーソル移動
(5) 該当行の先頭の「#」をBackspaceキーで消す
※Deleteキーは挙動が違います(変えられますが)
(6) Escキーで入力モード終了
(7) 左下の -- INSERT -- が消えたことを確認
(8) 「:wq」と入力して保存&閉じる
ファイルを閉じると、元のコマンド画面に戻ります。
次はこのコマンドを入力します。
Command Line
gpasswd -a 新規ユーザー wheel
新規ユーザーをroot権限を持てるグループに所属させます。 Adding user 新規ユーザー to group wheel
と表示されたらユーザー作成作業完了です。2. 新規ユーザーの動作確認
今現在rootでログインしていますが、新規ユーザーに切り替えできるか確認します。
Command Line
su 新規ユーザー
[root@xxx-xxx-xxx-xxx ~]#
(xxx部分は人によって異なる数字)こう表示されていた部分が [新規ユーザー@xxx-xxx-xxx-xxx root]$
こう変わっていると思います。これでroot 新規ユーザーへの切り替えはOKです。
では次は逆。
新規ユーザーからrootへの切り替えです。
Command Line
su
Password:
rootのパスワードを入力します。 [root@xxx-xxx-xxx-xxx ~]#
またこういう表示に戻ったらOK。3. ポート番号変更、rootログイン禁止
Tera Termでのログイン時も、WinSCPでのログイン時も、ポート番号を聞かれましたよね。
つまりこれもログインに必要な情報のひとつ。
デフォルトのままだと攻撃されやすいので、変えてしまいます。
次のコマンドを入力します。
Command Line
vim /etc/ssh/sshd_config
また色付きの画面が開きます。以下の設定を変更します。
#Port 22
Port 好きなポート番号
先頭の#を取り、「22」を別の数字にします。 ★ 後で使いますポート番号は好きな数字で構いませんが、自由に割り振っていい番号は49152~65535の範囲とされています。
#Protocol 2
Protocol 2
先頭の#を取るだけ。SSHのプロトコルを指定します。1は脆弱性が発見されているので、SSH2に限定します。
PermitRootLogin yes
PermitRootLogin no
rootログインを禁止します。#PubkeyAuthentication yes
PubkeyAuthentication yes
先頭の#を取ります。鍵認証を許可します。
PasswordAuthentication yes
#PermitEmptyPasswords no
PasswordAuthentication yes
#PermitEmptyPasswords no
PasswordAuthentication yes
PasswordAuthentication no
#PermitEmptyPasswords no
PasswordAuthentication no
PasswordAuthenticationがなぜか2つあります。#PermitEmptyPasswords no
PasswordAuthentication no
両方noにしてパスワードでのログインを禁止します(片方コメントアウトでもいいかも)。
終わったら保存・終了して、コマンド画面に戻ります。
Command Line
systemctl restart sshd.service
sshdの再起動をかけておきます。4. 新規ユーザー用の鍵を作成
新規ユーザーに切り替えます。
Command Line
su 新規ユーザー
ここから下もちょっとややこしいです。次のコマンドを順番に入力して下さい。
Command Line
cd ~/
Command Line
mkdir .ssh
Command Line
chmod 700 .ssh
Command Line
cd ~/.ssh
Command Line
ssh-keygen -t rsa
ここでこういう表示が出ます。 Generating public/private rsa key pair.
Enter file in which to save the key (/home/新規ユーザー/.ssh/id_rsa): ファイル名
Enter passphrase (empty for no passphrase):
Enter same passphrase again:
ファイル名は好きなものを。Enter file in which to save the key (/home/新規ユーザー/.ssh/id_rsa): ファイル名
Enter passphrase (empty for no passphrase):
Enter same passphrase again:
ダウンロードする鍵のファイル名になります。
その下のパスフレーズは省略可能。
省略したとして進めます。
未入力のままEnter(2回)。
Command Line
mv ファイル名.pub authorized_keys
Command Line
chmod 600 authorized_keys
そして新規ユーザー用の鍵をダウンロードします。kusanagiの鍵をダウンロードした時と同様、Tera Termのファイル→SSH SCPを選択し、以下のように設定します。
From: /home/新規ユーザー/.ssh/ファイル名
To: 鍵をダウンロードする保存先フォルダ
これでReceiveボタンを押すと、指定したフォルダに鍵ファイルが保存されます。
5. ログインできるユーザー、ポート番号の確認
ここで、Tera Termを一旦終了し、再度立ち上げます。
設定した内容がちゃんと反映されているか確認していきましょう。
まず、最初の画面。
ポート番号22ではアクセスできなくなっているはずです。
このままOKを押すと…
接続が拒否されます。
では、ポート番号を★で設定したものに変更してOKを押すと…
次の画面に進みました。
試しにrootでログインしてみましょう。
ユーザー名にroot、秘密鍵に一番最初にダウンロードした.pemファイルを選択してOKを押すと…
認証に失敗しましたと表示されました。
rootでのログインもちゃんと禁止になっています。
では次。
ユーザー名のところを新規ユーザー(下の図では「user01」)、秘密鍵を先程Tera TermからダウンロードしたファイルにしてOKを押すと…
接続できました!
今後は、新規ユーザーでKUSANAGIにログインし、root権限が必要な操作をする時は「su」コマンドでrootに切り替えて行います。
ちなみにConoHaのコンソールからはこれまで通りroot+パスワードでログインができます。
以降はWinSCPにログインする時(下記リンク先の手順)も、ポート番号を★で設定した番号にします。
6. ファイアウォールも設定しておく
APIでセキュリティ対策をする方法もあるんですが、ここではよりお手軽に設定ができるファイアウォールの設定方法を書いておきます。
rootログイン禁止、ポート番号変更、ファイアウォールの設定までできたらセキュリティ対策としては及第点かと…。
超重要!
ここの設定のみ、Tera TermではなくConoHaのコンソールから行ってください。
ここからコンソール画面を開きます。
root+rootパスワードでログイン。
Command Line
systemctl start firewalld.service
ファイアウォールを起動させます。ここで一旦Tera Term、WinSCPなどのSSH接続ができなくなります。
Command Line
systemctl enable firewalld.service
ファイアウォールが自動起動するように設定。Command Line
systemctl is-enabled firewalld.service
ファイアウォールの自動起動状態を確認します。 enabled
このように表示されたらOK。Command Line
firewall-cmd --add-port=ポート番号/tcp
指定ポートを開放します。ポート番号は★で設定したものを指定。
Command Line
firewall-cmd --permanent --add-port=ポート番号/tcp
再起動時にも自動で開放されるようにします。Command Line
firewall-cmd --remove-service=ssh
SSH接続が制限されているので、外します。Command Line
firewall-cmd --permanent --zone=public --remove-service=ssh
再起動時にも自動で外れるようにします。Command Line
firewall-cmd --add-service=http
httpをサービスに入れます。Command Line
firewall-cmd --permanent --zone=public --add-service=http
同じ設定が再起動時も適用されるようにします。Command Line
firewall-cmd --add-service=https
httpsも追加する。Command Line
firewall-cmd --permanent --zone=public --add-service=https
同じ設定が再起動時も適用されるようにします。Command Line
systemctl restart firewalld.service
一旦再起動をかけます。Command Line
firewall-cmd --list-all
設定内容の確認。重要なのはこの2つ。
ports: ポート番号/tcp
services: dhcpv6-client http https
このようになっているか確認しておいて下さい。services: dhcpv6-client http https
ファイアウォールの設定は以上になります。
これでTera Term、WinSCPでもKUSANAGIに接続できる状態に戻っているはずなので、接続できるか確認しておいてください。
接続できない場合はファイアウォールの設定をミスっています。
一応ファイアウォールを止めるコマンドも書いておきます。
起動中のファイアウォールを停止させる
Command Line
systemctl stop firewalld.service
自動起動を解除するCommand Line
systemctl disable firewalld.service
7. その他の設定
公式ドキュメントで推奨されている設定があります。
上記リンク先を参照し、必要に応じて設定してください。
以上!
これで一通り設定は終わりです~。
お疲れ様でした。
Series Index
- 初心者向け!ConoHaでKUSANAGIの始め方(1)サーバーを作る
- 初心者向け!ConoHaでKUSANAGIの始め方(2)KUSANAGIの初期設定
- 初心者向け!ConoHaでKUSANAGIの始め方(3)Wordpressのインストール
- 初心者向け!ConoHaでKUSANAGIの始め方(完)セキュリティ設定